以前から、同業の美容師さん(たぶんスタイリストになる前の美容師さんかな?)から何かと多いシザーに関する質問メール。中には「シザーは何を取り扱っているのですか?」と、まるで問屋さんと勘違いして問い合わせしてくる方や、「研ぎをお願いしたいのですが」と、研ぎ屋さんと勘違いして電話してくる方もいらっしゃいますが・・・
ここではっきりしときましょう。
私はハサミ屋ではなく美容師です(笑)
と、いうわけで今日はお問い合わせ頂いた美容師さん向けの話題。
つい最近、知らない美容師さんからのメールで問い合わせ。
「ネットでシザーを買ったけど、手に(指)合わない時って?加工に出します?っていうか、できるんですか?」と。
はい、当然出しますし、出来ますよ。
オリジナルのシザーは、メーカーが考えた誰にでも合うようにデザインされたシザーですが、自分のスタイルに合っているかどうかは使ってみないとわかりません。ディーラーに持ってきてもらい、使ってみて決める場合は別として、メーカーサイトから直接買ったりなどという場合は試し切りが出来ない事が多いので、気に入らなかったらすぐにカスタマイズしましょう。
では、シザーのカスタマイズ(研磨含む)、何が出来るのか?
実はこんなに多くのカスタマイズが可能なのですよ。
カスタマイズの種類
刃の厚み調整
刃先の調整
インチアップ
インチダウン
刃のコンベックス加工(蛤刃)
刃を笹刃にする
セニングのスキ率を下げる
柄の長さ調整
ハンドルを好きなシザーのハンドルと交換する(同じメーカーのシザーに限る)
リング調整(広げる、小さくする、指にあわせて削る)
指かけのカスタマイズ
音出しヒットポイント
研磨
刃線直し
裏スキ
だいたい、どのメーカーもこのくらいは普通にやってくれます。(要問い合わせ)
こんな感じで、様々な加工を元に、自分の手に合った一番使いやすいシザーを作るのがいいスタイルを作る近道というのは当然として、一番大切なのは自分の手を守る手段になります。指や手首に負担をかけ、その結果、腱鞘炎などの炎症を起こします。
腱鞘炎で苦しむと、自分も辛い思いをするけど、それより何より100%のパフォーマンスを出せないとお客様に一番の迷惑をかけます。迷惑というより、申し訳ないですよね。お客様はいつも来店時は100%を求めてこられますから、それにはしっかり答えて当然です。「美容師に腱鞘炎はつきもの」は、もう昔の話し。炎症起こす原因を追及しない美容師に責任はあります。
私も、昔はよく腱鞘炎になっていました。以前務めていた美容室で一番カットが多かった時期で、一日50名ほどカットしていたので、その人数をカットすれば当然だ・・・って勝手に思い込んでいましたが、その時にこういうカスタマイズが頭にあれば、絶対に違ったはずです。
それ以来、色々と調べてシザーはカスタマイズして使うものだということがよくわかりました。(すべてのシザーがそうだとは限りません。メーカーオリジナルのシザーでピッタリくることもあります)
と、いうわけで・・・いろんな加工をやってくれるのがメーカーです。だから、妥協せず気に入るまでカスタムしてもらった方がいいですよ。
当然、費用はかかります。しかし、最高の相棒が手に入ります。
では、私が加工してもらった(フルオーダー含む)シザーはこんな感じです。(以前ブログで紹介したシザーもあります)
刃先を細く、そしてリングを広げる
トギノンのドクターシザー6.1インチ
ブラントカット専用のシザーなのだが、それにしては刃先が広め、そしてリングがあまりにも小さすぎたので、カスタマイズ。
before
after
トギノン
ハンドル交換
ヒカリ Koryu 5.5インチ
以前頂いたのヒカリのシザー。(なぜもらったのか、忘れました・・・なぜもらったんだろう?)
オフセットハンドルからメガネハンドルへハンドル交換。
刃が短い独特のデザインだったので、それを生かすよう,この刃の長さに対してハンドルは少し長めのパーツへと交換してもらうことにより、独特のフィーリングでとても扱いやすいシザーに生まれ変わりました。とくに、リングに角度が付いているためショートカットやドライカットに威力を発揮。このシザーは本当に使いやすく、かなり使い込んでいます。
before
after
株式会社ヒカリ
http://www.hikari-scissors.com/products/junior/koryu/index.html
このシザーのハンドルに交換(5.75インチの柄)
http://www.hikari-scissors.com/products/cosmos/gir/index.html
ハヤシ・シザースのミニセニング(4.5インチ)
リバーシブルタイプが使いやすいだろうと思い、買ったのだけれども、指かけが取り外せないと、いちいち正と逆を確認しながらの約数秒がロスと感じたので,握ってすぐにわかるメガネタイプ(小指掛けはスピンオン)へハンドル交換。これで、いちいち確認しなくてもすぐにカットへ移れます。(ちなみに、このミニセニングはすごく使いやすいですよ)
before
after
ハヤシ・シザース
http://www.hayashi-scissors.com/scissors_product/basic/mini-thinning-20.html
フルオーダー
プロシザーズOKAWA SG-X
SG-X6.0をベースに選び、ブラントカット専用シザーを作るために長さを5.75インチに、そしてハンドル、リングを全てフルオーダー。
プロシザーズOKAWA
http://www.vegancraftsamples.com/product/05_sg_x.html
インチダウン&ハンドル選択
プロシザーズOKAWA HCJ-X
HCJ-X6インチのシザーを5.8インチにサイズダウン(刃は笹刃+階段刃のJag)そして、2種類のハンドルから好みのスタイルを選ばせて頂きました。
プロシザーズOKAWA
プロシザーズOKAWAのブログで取り上げて頂いた記事
http://www.vegancraftsamples.com/blog/2015/04/post-21.html
こんな感じで,自分の手に合ったシザー、そしてご来店されるお客様で多いスタイルに対応できるシザーを作りました。
この他、6.8インチや7インチのシザーも使っていますが、その辺はオリジナルのままで使用しています。
お問い合わせくださったみなさまも、今お使いのシザーをご自分の手に合ったシザーへとカスタマイズして、最高のパフォーマンスを手に入れてみてはいかがでしょう?
きっと、今以上にヘアデザインが楽しくなりますよ。